グローバルに展開している多国籍企業が経理面で懸念されるものの一つに海外関連者に対する寄附金があろうかと思います。
例えば経理や法務業務サポートを日本親会社が行う場合に
・日本親会社→第三者:100の対価(fee)
が適正である取引について、
・日本親会社→海外子会社:20の対価(fee)
と、通常より少額の対価をもって海外子会社に役務提供を行った場合は、差額80が海外子会社支援とみなされ「海外関連者寄附金」として100%損金不算入となります(同時に80の海外サポート収益の計上漏れも指摘されるのでダブルパンチです)。
特に海外進出直後は海外子会社に十分な資金がなく、やむを得ず日本親会社が負担したい(すべき)という経営判断になることは個人的には理解しやすいところです。
ただ、税務当局は「なるほど、海外子会社が負担できないので日本親会社が負担されておられるのですね。それは結果として子会社支援を日本親会社が行った形となるので、やむを得ず日本親会社から海外子会社に対する寄附金ですね」と指摘されることとなります。
最近の税務調査ではこの部分の指摘が多いように感じます。
もちろん移転価格税制の問題にし得る事案もありますが、移転価格税制の指摘は税務当局にとっても負担が大きく時間がかかるため積極的な指摘をするには相応の規模がある場合に限られるのではないかと個人的には思います。
よって、より相対的に指摘しやすい「海外関連者に対する寄附金」が税務調査で熱い論点となるわけですね。
海外子会社の間接的業務を支援する際に、日本親会社社員を海外子会社に出張させるケースが一番多いと思います。
この時に「一体いくらを海外子会社に負担させるのか」が実務的に経理ご担当者様の頭を悩ませることが多いですよね。
出張旅費、出張対象者の給与などなど、どの部分をどこまで海外子会社に負担させるのか、その根拠となるエビデンスの保存と共に実態に応じてその方法は様々だと思います。
大事なのは実態を鑑みしっかりと検討し、来るべき税務調査に備えてしっかりエビデンスを作成、保存することです。日本親会社と海外子会社との契約書はもとより出張報告などいかにきっちり積み上げておくかが、税務調査での是否に大きく影響してきます。
表題のBPES8~10の最終報告書の中に、低付加価値グループ内役務提供に関する記述があり、低付加価値役務提供については総コストに5%を上乗せするべきとあります。
日本の税務調査の基本となる「移転価格事務運営要領」ではまだ同様の記載はありませんが、BEPSの位置づけから考えると日本もいずれその考え方を準用するのではないかと思われます。
国際的取引については予期せぬ課税ポイントを税務当局から指摘を受けるケースがあります。
私たちは「課税リスクを知り準備をすること」が最重要ポイントだと考えております。
国際的取引が増えてきて不安だが相談すべき相手がいなくて困っている法人企業の経理事務ご担当者さまは多くいらっしゃることと存じます。
わたしたちあすか税理士法人では、そんな皆様のお手伝いができれば非常に嬉しく思います。弊社クライアントにはASEANにおける信頼できる現地会計事務所のご紹介も喜んで行っております。
国際税務は知らなかった時のリスクが甚大です。
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