所得税の確定申告をされる際にe-Tax等を使って電子申告されている方はすでに沢山いらっしゃると思います。
準確定申告についても令和2年分以降分は電子申告できるようになったことをご存知でしょうか??
通常の所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間分の税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに申告・納税をすることになっています。
ところが、確定申告をすべき人が、年の途中で亡くなった場合や、年が明けて確定申告をする前に亡くなった場合、相続人が代わりに亡くなった方の確定申告をすることを準確定申告といいます。
通常の確定申告の提出期限は所得税を計算した対象年度の翌年2月16日から3月15日までの間となっていますが、準確定申告は相続の開始があったことを知った日(死亡した日)の翌日から4ヶ月以内となっています。
例1)死亡した日:令和3年9月30日 準確定申告期限:令和4年1月31日
例2)死亡した日:令和4年2月5日 準確定申告期限:令和4年6月5日※
※令和3年度分の確定申告を提出する前に亡くなった場合は、令和3年度分と令和4年度分(令和4年1月1日から令和4年2月5日分)の両年度分の準確定申告が必要です。
また、準確定申告が還付申告の場合は期限後5年内であれば申告することが出来ます。
確定申告時に青色申告特別控除(65万円)の適用を受ける場合には、次の3つの要件を満たす必要がありました。
①正規の簿記の原則による記帳(複式簿記)
②申告書に貸借対照表・損益計算書等の添付
③期限内申告
税制改正により令和2年分以降の確定申告については、上記の要件に『e-taxによる電子申告を行う』が追加されました。
ちなみに従前の①から③の要件のみ満たす場合は青色申告特別控除を55万円しか受けることが出来ません。確定申告書を紙で提出する場合は、65万円の控除が受けられないということになります。
準確定申告においても青色申告特別控除を65万円の適用が受られるよう、電子申告が対応出来るようになったのです。
また、青色申告特別控除は年の途中で亡くなった場合でも日割りすることなく、要件を満たせば満額の65万円控除を受けることが出来ます。
準確定申告を電子申告で提出する場合は、下記の書類が必要です。
①準確定申告書
②所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
③準確定申告の確認書
④委任状
①準確定申告書
これは通常の確定申告書と同じです
違いは氏名・住所の欄に亡くなった方と相続人代表をそれぞれ併記することです。
また、国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーでは準確定申告の作成ができません。ダウンロードが必要なe-Taxソフトなどで作成が必要となります。
②所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
準確定申告の電子申告が可能となる前から添付が必要な書類で、以前は相続人の氏名の横に押印が必要でしたが、2021年4月1日以降廃止となりました。
③準確定申告の確認書
今回新たに追加された書類です。
相続人が2名以上いる場合は、相続人全員が申告内容等を確認し署名した上で添付する必要があります。
電子申告といいながら、手書きで署名し、PDFで読み込んで添付というなんとも手間がかかる書類です。
相続人が1名の場合は添付不要です。
④委任状
相続人の代表者が還付金を一括で受け取る際に、他の相続者からの委任状が必要となります。こちらも従前からある書類です。
確定申告書を電子申告する際は利用者識別番号が必要ですが、準確定申告の場合、相続人代表の利用者識別番号で送信する必要があります。亡くなった方の利用者識別番号ではないのでご注意ください。
申告の際には相続人代表の電子証明書の添付が必要となります。
(税理士に代理送信してもらう場合は、必要ありません)
また、提出先は亡くなった方の死亡当時の納税地の管轄税務署に提出します。
準確定申告も電子申告対応となったため、郵送提出や税務署への持ち込みに行かなくてもよくなり便利になりました。
しかしながら、まだ手書きで署名が必要な書類もあり、申告期限直前になっても慌てないように事前準備には注意が必要です。
あすか税理士法人
スタッフ