海外子会社設立等に際して発生した経費は、どこまで日本親会社の経費負担にすることができるのか?
海外進出を決めた日本企業の、経理担当者を悩ませる種の一つですよね。
「設立費用自体はもとより、設立後も海外子会社にはお金がないので、日本親会社が負担するしかない」という理論は分かります。
しかし、税金の世界の理論は異なります。
海外子会社に資金が無いため日本親会社が経費負担するのであれば、『日本親会社の海外子会社に対する支援(海外子会社に対する寄附金)』と判断され、税金をする際には経費として認められなくなります(損金不算入)。
日本親会社の経費にならない可能性がある、と聞くと何でも海外子会社負担としがちです。
税務的に「行き過ぎた保守的処理」は避けるべきです。
では、かかった経費はどの法人が負担すべきなのか?
ポイントは“経費がいつ発生しているのか”です。
結論としては、海外子会社の設立を「親会社が意思決定したとき」以後発生する経費は、原則的に『海外子会社が負担すべき経費』となります。
“子会社設立時”ではなく“子会社設立意思決定時”である点、注意が必要です。
以下、タイミング毎に発生する具体的な経費をイメージしてみましょう。
法人設立前(設立意思決定後)に発生した現地不動産賃借料を、日本親会社負担にしているケースが見受けられます。
「設立前だから」と考えがちですが、設立後に海外子会社で経費処理の対象となると考えるべきです。
また、日本親会社スタッフの現地渡航費用にも注意が必要です。
海外子会社設立意思決定前後にまたがって発生する経費であり、深い検討をせずに日本親会社の経費としがちです。
上記はあくまで原則論であるため、海外子会社設立意思決定後であっても、日本親会社の経費となる部分はあります。
実態に即した処理が必要ですし、実態を税務調査官に証明するためのエビデンスを備えることが非常に重要になります。
備えを“見直す”ことで、“日本親法人の経費に出来る”可能性があるかも知れません。
国際税務でお悩みの際は、一度私どもに御相談下さいませ。