今週は海外へ出向した場合の給与の取り扱いを解説します。
Aさんの最初の海外勤務は1年弱、2度目の海外勤務は3年の予定で出国しました。1度目の海外勤務中は給与から日本の税金が引かれていたのに、2度目は引かれていません。なぜでしょうか。
ポイントは1年以上の予定だったかどうかです。
1年以上の勤務予定で出国した場合、日本の所得税を計算する上では“非居住者”という区分になります。“非居住者”になると日本で稼ぐ所得以外は日本では課税されません。
1年未満の予定で出国した場合は今まで通り所得税を計算すればOKなので、税金も今まで通り天引きされます。
Aさんの1度目の勤務は1年弱の予定だったので、“非居住者”にはならず、2度目は3年の予定で出向したため“非居住者”になりました。これが1度目は日本の税金が引かれて、2度目は引かれなかった理由です。
1年以上の”予定”かどうかは、赴任の内示、辞令等で判断します。
1年以上の予定で出国した場合、出国した日の”翌日”から非居住者になります。内示、辞令等を受けた日ではありません。非居住者になると原則、日本の税金は課税されませんがこの出国した日後、最初に支払う給与は注意が必要です。
Ex)給与締め日が15日のそれぞれの時点の取り扱い
① 日本の所得税を徴収する必要はありません。
② 20.42%所得税を徴収します。
③ 6/1~出国日までの賞与(国内勤務分)を日数按分で計算し、42%の所得税を徴収します。
※今回は説明を割愛しておりますが、役員が出向する場合は①、②いずれの場合も20.42%の所得税徴収が必要となります
次回は社会保険と年末調整について解説します。