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Others2024.02.21 労働基準法 ~振替休日と代休の違い、分かりますか?~

最近、就業規則や労務問題に関するご相談を受ける機会が多いように感じます。
これは例えばコロナ禍で働き方の多様化が進んだこと、インターネット等を利用して労働問題に関する情報が入手しやすくなったこと、度重なる法改正等による複雑化等に起因しているように思います。
そんな中、私が受講したAIG損保様主催の労務セミナー『就業規則とともに学ぶ現代型労務問題』の内容が非常に興味深かったため、その一部をご紹介したいと思います。

 

 

1.労働時間


 

所定労働時間は休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間です。休憩時間は労働時間が6時間を超えると45分、8時間を超えると1時間となり、労働時間の途中に与える必要があります。

 

賃金請求権の消滅時効は、令和2年3月31日までに賃金支払期限が到来する場合は2年、それ以降は3年(近い将来、5年になるそうです)、退職手当は3年、年次有給休暇は2年となっています。

 

労働基準法上の「労働時間」とは労働者が使用者の式命令下に置かれている時間をいい、使用者の「明示」又は「黙示の指示」により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとされています。

 

「黙示の指示」とは会社が労働するよう具体的に指示したわけではないものの、労働者が事実上労働せざるを得ない状況に置かれていることを言います。

 

例えば、始業時間よりかなり早く出社し業務している場合、その事実を認識している使用者(会社側)が異議を述べていない場合や、業務量が所定労働時間内に処理できないほど多く時間外労働が常態化している場合は労働時間として認められる可能性があります。

 

また、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間も労働時間に該当します。
一方で、使用者の明示の残業禁止の業務命令に反して、労働者が時間外に業務を行ったとしても労働時間にはなりません。

 

持ち帰り残業は、原則として指揮命令下の労働とは認められず、労働基準法上は労働時間に該当しません(使用者から業務遂行を指示されてこれを承諾し、私生活上の行為と峻別して労務を提供して当該業務を処理したような場合は例外的に労働時間として認められます)。

 

 

2.通勤時間


 

「通勤時間」は労働時間に該当するでしょうか?
答えはNOです。

 

通勤は、「働く」という行為の準備行為に当たり業務性が無いという位置づけです。
直行直帰の場合も、自宅から現場、現場から自宅の何れも通勤と捉え労働時間には該当しません。

 

出張の際の往復に要する時間も労働時間には該当しません(通常の出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるため)。ただし、出張の目的が運搬であり、旅行中その物品の監視をしなければならない等出張の移動そのものが業務性を有する場合には労働時間として認められます。

 

出張中の休日は、その日に業務従事する場合を除き、休日労働として取り扱わなくてOKです。

 

 

3.働くスタイル


 

上述の通り、所定労働時間の枠は1日8時間、1週40時間ですが、その例外として「変形労働時間制」と「フレックスタイム制」があります。

 

「変形労働時間制」は1日及び1週の労働時間の上限を、ある特定の1日や1週において超えることがあっても、一定期間において平均して週の法定労働時間を超えなければ、労基法32条違反とはなりません。つまり、ある特定の日の勤務をあらかじめ10時間と設定しても、平均して週の法定労働時間を超えなければ、10時間までは割増賃金の支払義務を負いません。

 

「フレックスタイム制」は、一定期間内に一定の時間数労働することを前提として、各日の始業・終業時刻、すなわち各日の労働時間の長さの決定を労働者に委ねる制度です。フレックスタイムは、より労働者の自由裁量が認められているといえます。

 

また、労働時間の例外的な捉え方として「事業場外労働のみなし制」と「裁量労働のみなし制」があります。

 

「事業場外労働のみなし制」は、労働者が事業場外(社外)で業務時従事した場合について、その労働時間を算定し難いときは、一定の労働時間業務従事していたものとみなす制度です。外勤営業、テレワーク等での適用が考えられます。

 

なお、テレワークにおいて①②のいずれも満たす婆には、事業場外みなし労働時間制を適用することが出来ます。
①情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態に置くこととされていないこと
②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

 

「裁量労働のみなし制」は、業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務について、業務の遂行性や時間配分等を労働者の裁量に委ね、労働者が自律的・主体的に働くことを可能とする制度です。労働時間を実際に働いた労働時間ではなく、あらかじめ定めた一定時間と見なす制度です。労使間で契約した時間分が報酬として支払われます。

 

 

4.休日


 

(1)法定休日と所定休日の違い
「法定休日」は労働基準法に定められた休日を指します。労働基準法第35条では、1週1日又は4週間を通じ4日以上の休日をとることが求められています。法定休日労働は35%の割増賃金支払が必要です。

 

「所定休日」は法定休日以外の休日です。つまり法律で強制されていない休日です。現状の労基法において、例えば土日休みの場合、いずれか1日が法定休日、もう1日が所定休日となります。所定休日労働は割増賃金不要となります。

 

(2)振替休日と代休の違い
「振替休日」は法定休日に勤務し、振替で平日にお休みをとるイメージです。この場合、法定休日に勤務したことは、法定休日労働に該当せず通常の労働日扱いになります。

 

振替休日は下記ルールを守る必要がありますので、ご注意ください。
・振替を事前通知する
・振替休日を事前に特定する
・労基法の1週1日休む要件を満たすこと

 

次に「代休」ですが、代休は振替休日と異なり通常の労働日に働いたことにならず、法定休日に働いたことになります(もともと法定休日に働いているので、そのままと言えます)。従いまして、35%の割増賃金が必要となります。

 

 

如何でしょうか。
各論点掘り下げすぎず、広く浅く情報をお伝えする内容になっておりますので、各論点で気になった項目は深掘りして頂くことをお勧めいたします。
また適宜法改正も入りますので、最新情報をキャッチアップするようにもしてください。

 

あすか税理士法人

【国際税務・国内税務担当】高田和俊

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