お問い合わせ

BLOGブログ

国内税務2024.10.16 企業版ふるさと納税

1⃣ はじめに


 

早いもので令和6年もあと3ヶ月を切りました。この時期に、「今年のふるさと納税の上限額を確認しないと,,,」と思われる方も多いのではないでしょうか。

ふるさと納税は個人だけでなく、法人についても納税を行うことが出来ます。

今回は、「企業版ふるさと納税」についてご紹介します。

 

2⃣ 企業版ふるさと納税とは?


法人が、地域再生計画の認定を受けた地方公共団体の行う「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に寄附金を支出した場合に、寄付金の支出額に応じて税制上の優遇措置を受けられる制度です。(地法附則8の2の2等)。

※ 令和7年3月31日までの寄付金の支出に対して適用されます。

この制度は平成28年に内閣府主導により創設されました。令和5年度における地方公共団体への寄附額は470億円、寄附件数は14,022件と、創設年度(寄附額7億4,700万円、寄附件数517件)から大幅に増加しています。

また、令和2年度に創設された人材派遣型の企業版ふるさと納税の仕組みは、企業が地方公共団体等へ派遣した人材の人件費相当額を含む事業費を寄付することにより、地方公共団体等への企業の人材派遣を促進し、地域創生のために企業の専門的知識やノウハウが活用されることで、より一層の充実・強化を図ることが可能となりました。

地方創生(内閣官房・内閣府総合サイト)>企業版ふるさと納税ポータルサイト

https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html

 

3⃣ 制度の概要


① 制度活用にあたってのポイント

 

・ 1回あたり10万円からの寄付が可能です。

・ 寄付を行うことの代償として、地方公共団体等から経済的な利益を受けることは禁止されています。

【具体例】

補助金を受ける

商品券やプリペイドカードなど換金性の高い商品の提供を受ける

まち・ひと・しごと創生寄付活用事業により整備された施設を専属的に利用できる

・ 本社が所在する地方公共団体への寄付は対象外です。

【具体例】

本社とは、地方税法における「主たる事務所または事業所」を指します。

※ 大阪府箕面市に本社が所在の場合、大阪府と箕面市への寄付は対象外です。

 

② 活用の流れ

 

内閣官房・内閣府総合サイトより抜粋

 

 

 

4⃣ 会計処理、税額控除


① 会計処理

企業版ふるさと納税の認定事業への寄附は「特定寄附金」となり、支出年度に全額損金算入されます。

 

② 税務申告

・ 法人税

確定申告書に明細(認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額

の特別控除に関する明細書)の添付が必要です。

・ 法人住民税及び事業税

確定申告書に明細書(特定寄付金を支出した場合の税額控除に関する明細書)の添付が

必要です。併せて、特定寄付金の受領書等の証明書類の添付が必要です。

③ 税額控除

① の全額損金算入による軽減効果だけでなく、税額控除により、最大で寄付額の約9割が

に軽減され、企業の負担が約1割まで圧縮されます。

※ ただし、下記の通り上限額が定められているため、企業の所得金額の大小により税額控除を受けきれないケースがあります。

内閣官房・内閣府総合サイトより抜粋

 

5⃣ まとめ


いかがでしょうか。この制度は、企業にとって税負担の軽減だけでなく、企業が地域創生プロジェクトを応援する目的で寄付を行うことにより、社会貢献に取り組む企業としてのPR効果や、CSRの推進といった社会貢献活動へのつながりが期待されます。

あすか税理士法人 藤野 絵美