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Others2022.09.21 事業再構築補助金 採択される計画書のポイント

2021年5月に始まった事業再構築補助金。
この2022年9月現在で第7回公募の申請受付中になっています(中小企業庁の特設サイトはこちら)。

自社が対象になるのか、これから行う事業再構築はどの類型(新分野展開・事業転換など)に該当するのか等を精査する必要がありますが、本Blogではその当たりの確認は割愛させていただきます。
今回のBlogは「採択される事業計画書のポイント」に絞って、実際に不採択→事業計画の見直し→採択となった事例を踏まえてご説明いたします。
なお、本Blogは皆様が提出される事業計画書の採択を約束するものではございませんので、参考情報としてご欄頂ければ幸いです。
 

 

1.事業再構築補助金とは


 

以下は、中小企業庁の事業再構築補助金特設ページに記載されていた、事業再構築補助金の説明文です。

新型コロナウィルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。

 

ポイントは「コロナにより事業に悪影響を受けた中小企業等」が「アフターコロナ・ウィズコロナ」において事業再構築行うならば国が支援しますよ、という制度です。補助額は100万円~1.5億円、補助率は3分の1~4分の3となっています。

補助金は公的な機関からお金を貰える制度なので、当然申請から採択・交付されるまでのハードルは低くありません。

下記は事業再構築補助金に関する一連の流れです(公募要領から抜粋)。

 

まずは公募要綱(第7回公募要領はこちら)の読み込み、特に「10.事業計画作成における注意事項」と「表2.審査項目」は丁寧に確認するのが肝要です。

 

令和4年中に更に1回(第8回公募)予定されているそうですが、狙っておられる事業者の方は兎に角チャレンジしてみるべきだと思います。

後で述べますが、1回チャレンジして不採択でも、必要な修正を加えて再申請すれば採択される可能性はあります。

 

2.不採択となった事業計画書


 

いよいよ本題に入っていきます。

まずは「不採択になった事業計画書」について解説します。

事業計画書は全くの他人様が審査してくださるわけなので、「とにかく綺麗に見やすく」を心がけ、PowerPointを利用して作成された事業計画書です。

フォントはメイリオ、写真を多用し、見やすさをとにかく重視するために空白を多めに事業計画書を作成、提出されましたが、結果として「この分析に基づく計画であれば実現可能性が高いと思わせる『説得力』に少し欠いてしまった」ことが不採択の最大要因であったように思います。

更に詳しくお伝えすると、既存ビジネスの紹介や新事業のスケジュール、収益計画やその根拠はしっかりと記載できましたが、『新事業の分析』が事業計画書上で表現出来ていなかったように思います。

もちろん、事業計画書は綺麗に作成されているに越したことはないと思いますが、例えば中小企業が提出できる事業計画書の枚数は10枚まで(申請内容によります)で、そこに必要な情報をすべて盛り込もうと思うと、PowerPointは不向きでWordで作成する方がベターだったと思います。

 

3.不採択時に頂いたコメント


 

不採択になると、申請者が希望すれば「審査員による不採択に至った要因に関するコメント」を聞くことが出来ます。不採択になるとショックも大きいですが、これは是非活用すべき制度です。

プロから見たときに、当初の事業計画書のどこがまずかったのかを教えてくれます。

つまり、そのポイントを改善すれば次回の採択率はグンとアップします。

コメントは具体的なものから漠然としたものまで様々です。実際に不採択になった際に頂いたコメントのうち印象的だった二つをご紹介します。
 
事業化に向けて競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮することがより必要である(事業化点の改善ポイント)

→これは具体的ですね。厳密には競合他社がいないケースもあるかもしれませんが、仮に競合他社が無いと考えておられても、近しいビジネスを競合他社と捉えて、帰納的に新事業の成功確率が高いことを説得する内容である必要があると思われます。

 

事業遂行について、判断材料が少ないため公募要領を基に事業計画書をより明確に記載すると良い(事業化点、再構築点のポイント)

→このコメントは正直悩まされましたが、ありていに言えば「事業計画内容が薄いからもっと内容が分かるように策定すべし」と指摘されているものと解釈すべきだと思います。

 

4.採択された事業計画書


 

頂いたコメントを基に、申請者と共に下記ポイントに重点を置いて再度事業計画書を策定いたしました。
 
極力外部から入手できるデータを用いて客観的に説明

事業計画を作るうえで、特に数値に関連する部分は「自社で想定した数値」を前提に説明を展開することが多いと思いますが、そこに可能な限り「外部で入手可能なデータを出展を明示しつつ活用」することで、計画に説得力を持たせます。
 
SWOT分析と事業計画との結びつき(ストーリー)をより明確に

SWOT分析と新事業の内容が筋道だって繋がっていないと、説得力に欠ける事業計画書になってしまします。敢えて言うならばこのSWOT分析が正しく出来ているかどうかが事業再構築のカギを握っているような気がしました。
 
確定しているところは積極的に明示

本来は採択されてから再構築事業を開始しますが、事前着手承認申請に基づく許可があれば採択前から再構築事業がスタートできます。その際は、事業計画書に確定した要素(確保した事業場など)を積極的に明示することで説得力が増すと思います。
 
新事業の課題・リスクと解決方法

これは結構大事だと思っていますが、これからやろうとする再構築事業の『課題とリスク』を想定し、その解決方法まで検討していることが重要です。バラ色計画に対しては、国のお金(税金)を投入することに躊躇してしまうのも納得できる気がします。

 

如何でしょうか。

審査員は数多の計画書を精査しています。

如何にその新事業に本気で取り組もうとしているのかを、その事業計画書から読み取ろうとしてくださっているものと思います。

しっかりと新事業の検討を行ったら、あとは審査員にしっかり伝わる「重みのある事業計画書」を策定することが、採択への第一歩だと感じました。

 

本採択案件について、交付に関する手続きが始まりますので、またタイミングを見て「交付に関するBlog」を記したいと思います。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】高田和俊

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