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会計・ファイナンス・監査2020.04.08 不正会計について考える(8)【不正会計の早期発見】

これまでは不正会計の傾向について述べてきましたが、今回からは「不正会計をいかに早期発見するか?」ということについて考えていきたいと思います。

 

 

1.不正会計の早期発見の必要性

 

 

残念なことに、皆さんの会社で不正会計が起きてしまっていたとしたら、それをできるだけ早く発見しなければいけないというのはご理解頂けるかと思います。一般的に、不正会計の早期発見が求められる理由として、以下の3つが挙げられます。

 

 

① 不正会計による被害を最小限に食い止める

当たり前のことですが、大事に至る前に不正会計を発見することが最も重要です。

 

 

② 早期発見は企業の自浄能力を示すものとなる

不正会計が起きてしまったことは残念なことですが、それを自ら早期に発見し、開示をすることで、企業に高い自浄能力があることを示し、その企業の評価を高める可能性があります。

逆に、被害が多額に及んだ段階で、内部告発等の外部からの圧力によってその事実が発覚すれば、企業の自浄能力が疑われ、いわゆるレピュテーション(評判)リスクの問題に発展する可能性があります。

 

 

③ 早期発見は不正の抑止力となる

早期発見の能力があることを従業員に示すことで、「もしかしたらバレてしまうかもしれない」「すぐに見つかってしまうかもしれない」と思わせ、不正の実行を思い止まらせる効果が期待できます。

 

 

 

 

 

 

2.不正会計の早期発見が困難な理由

 

 

しかし、これまでも見てきたように、不正会計が早期に発見されず、大きな問題となっているケースは後を絶ちません。一般的に、不正会計には以下のような特徴があるため、早期発見が困難と言われています。

 

 

① 不正実行者は、取引スキーム等を熟知しており、意図的に内部統制の欠陥をついて行うことが多い。

 

 

不正実行者は、社内で信頼を得ていることも少なくなく、長期間にわたり同一業務を担当しており、ローテーションが行われていないことが多い。

 

 

③ 不正実行者以外は、取引等の詳細を把握しておらず、モニタリング(監視)が行われていないことが多い。

 

 

④ 最近では、経営者等による内部統制の無効化を伴っているケースも多い。

 

 

また、これらに加えて、基礎となる会計記録や証憑書類の改ざん・偽造・変造や特定の会計事象についての虚偽の記載・意図的な除外(会計処理を行わないこと)・会計基準等の不適切な適用を伴っていることが多く、その発見は非常に困難なものと言わざるを得ません。

 

 

しかし、先に述べた①から④の特徴は、内部統制の弱点ともいうべきものであり、不正会計が起きてしまった会社においては、これらの弱点を認識・修正することができていなかったということでもあります。

 

 

次回は、不正会計と内部統制の有効性の関係について、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。