不動産を売ったときにかかる税金のお話しです。
不動産を交換した場合はどういった取り扱いになるのでしょうか。
交換?売ってないやん!譲渡益出んやろ!
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、税務上「交換=譲渡+取得」という取り扱いになります。
即ち、一旦時価で譲渡したものとみなして(同時に時価で取得したものとみなして)処理されるので譲渡益が発生します。
しかし、交換の場合手元にお金が残りません。にもかかわらず税金を払えというのは酷ではないでしょうか。
そこで一定の要件を満たす交換については譲渡益を繰り延べるという特例が設けられています。
主な要件は下記のとおりです。
(1)交換する資産が同じ種類であること。
土地と土地、建物と建物・・・OK!
土地と建物、建物と土地・・・NG!
(2)交換する資産が固定資産であること。
不動産業者が持っている棚卸資産・・・NG!
(3)それぞれの所有者が一年以上所有していたものであること。
(4)取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
土地の場合 宅地と宅地・・・OK!
宅地と駐車場・・・NG!
建物の場合 工場と工場・・・OK!
工場と倉庫・・・NG!
(5)譲渡資産の時価と取得資産の時価との差額が20%以内であること。
譲渡資産10,000千円、取得資産8,000千円(交換差金2,000千円貰う)・・・OK!
譲渡資産10,000千円、取得資産14,000千円(交換差金4,000千円払う)・・・NG!
(これはあまりに時価がかけ離れているものは交換とはいえないという理由です)
譲渡益繰延額の具体的な計算例は下記のとおりです。
譲渡土地簿価 1,000千円
取得土地時価 20,000千円
譲渡土地時価 23,000千円
受取交換差金 3,000千円
譲渡益 譲渡土地時価23,000千円-譲渡土地簿価1,000千円=22,000千円
譲渡益繰延額 取得土地時価20,000千円-譲渡土地簿価1,000千円=19,000千円
課税される譲渡益 22,000千円-19,000千円=3,000千円
すなわち交換差金を受け取った分(3,000千円)については税金をかけますよということになります。これは担税力があるからです。
ちなみに上記ケースでは取得した土地の簿価は1,000千円となり、譲渡土地の簿価と一致します。
この制度を使うと新しく取得した土地の簿価が1,000千円(取得土地時価20,000千円-譲渡益繰延額19,000千円)となりますので、将来この土地を20,000千円で売った場合には19,000千円の譲渡益が発生します。
即ち、「譲渡益を将来に繰り延べる」ということになります。
上記制度は法人個人共に利用することができますが、利用するためには色々と細かい要件の確認や書類の準備が必要となりますので税理士にご相談されることをおすすめいたします。
あすか税理士法人
【国内税務担当】高田和俊
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