2020年7月14日から申請がスタートした「家賃支援給付金」。
売上が一定程度下がった事業者が支払う「家賃」について、一定割合を国が補助してくれる制度です。持続化給付金と同様に「貰えるお金」なので、対象となる方は申請を検討してみて下さい。
下記全てに該当する法人・個人事業主が対象となります。
(1)2020年4月1日時点で、資本金10億円未満または常時使用従業員数2,000人以下(法人のみ)
(2)2019年12月31日以前から売上があり、今後も事業継続意思がある
(3)2020年5月~2020年12月までの間で、新型コロナウィルス感染症の影響により下記いずれかに該当
① いずれか1ヶ月の売上が前年同月対比で50%以上減少
② 連続する3ヶ月の売上合計が、前年同期間対比で30%以上減少
(4)土地又は建物を賃借(支払必須)して事業に使っていること
なお、下記のいずれかに該当する方も対象者となりません。
・過去に家賃支援給付金を受け取った者
・国、又は法人税法別表第一に規定する公共法人(国立大学法人や地方独立行政法人等)
・店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業、無店舗型電話異性紹介営業、性風俗関連特殊営業の接客業務受託営業を営む事業者
・政治団体
・宗教上の組織若しくは団体
・給付金の趣旨、目的に照らして適当で無いと長官が判断する者
★ 売上減少=即対象??
”新型コロナウィルス感染症の影響によるものでない場合”は厳しく対応されると記載があります。
これは家賃支援給付金給付規定の第4条第1項第3号(個人は同項第2号)に、「新型コロナウィルス感染症拡大の影響等により」売上が減少した事業者が対象となっていることと整合します。
例えば、2019年5月にかなり特殊な事情による大きな売上があり、2020年5月は通常の売上のみであるケースは対象外とされる可能性があると推測されます(状況によりますが)。
売上が減っていれば何でもOK!ってわけでは有りませんのでご注意下さい。
★ 2020年1月~2020年3月の開業事業者も給付対象にする方向で検討中(7/15現在は対象外)
★ 主たる収入を雑所得や給与所得で確定申告した事業者も給付対象にする方向で検討中(7/15現在は対象外)
1,対象者でも整理しましたが、まず「不動産の賃貸借契約」が存在することが前提となります。売買契約ではありません。その上で、どのような賃料が対象となるのか詳しく見ていきたいと思います。
(1)対象となる不動産及び賃料
対象となる不動産は、日本国内の土地・建物に限定されます。
賃料に含まれるか否かは下記を参照して下さい。
(2)対象となる契約書
次の全ての該当することが条件となります。
・2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約がある
・申請時点で有効な賃貸借契約がある
・申請日直前3ヶ月間の賃料支払実績がある
(3)対象とならない契約書
貸主と借主とが配偶者又は一親等以内親族である場合の賃貸借契約は対象外となります。
具体的には次に該当する賃貸借契約は対象外となります。
・代表取締役個人から借りた賃貸借契約
→(貸主)a氏( A法人の代表取締役 ) VS (借主)A法人
・代表取締役を同じくする法人から借りた賃貸借契約
→(貸主)B法人( 代表取締役は a氏 ) VS (借主)A法人( 代表取締役は a氏 )
・親子会社間での賃貸借契約
→(貸主)A法人 VS (借主)C法人( A法人の親法人 )
→(貸主)C法人 VS (借主)A法人
・代表取締役の配偶者及び一親等内血族姻族、又はこれらの者が代表取締役を務める法人等から借りた賃貸借契約
→(貸主)a’( a氏の配偶者 ) VS ( 借主 )A法人
→(貸主)C法人( 代表取締役は a’ ) VS ( 借主 )A法人
(1)いくら貰えるのか?
いよいよ給付額の計算です。
給付額 = 下記『月額給付額』× 6(最大 法人600万円、個人300万円)
月額給付額は、申請日直前1ヶ月以内に支払った賃料が対象で、次の計算式で算出します。
・月額賃料75万円以下
月額給付額 = 月額賃料 × 2 ÷ 3
・月額賃料75万円超
月額給付額 = 75万円 × 2 ÷ 3 +(月額賃料-75万円)÷ 3(上限100万円)
個人の場合は『法人の半額』とご理解下さい。
賃料月額75万円→37.5万円となり、月額給付額の上限は50万円となります。
なお、上記「月額賃料」について、特殊なケースは下記をご参照下さい。
【家賃年払いのケース】
年払により申請1ヶ月超前に支払った場合は、申請日の直近で支払った賃料(申請月分の賃料が年払賃料に含まれている必要あり)の1ヶ月平均金額が「月額賃料」となります。
【家賃改定のケース】
2020年4月1日以後に賃料改定があった場合は、次のいずれか低い金額が「月額賃料」となります。
・2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約書に記載されている1ヶ月分の賃料
・申請日直前1ヶ月以内に支払った賃料
【売上により変動する家賃のケース】
次のいずれか低い金額が「月額賃料」となります。
・2020年3月に賃料として支払った金額
・申請日直前1ヶ月以内に支払った賃料
(2)貰える額が増減するケース
例えば4月~6月に支払っている賃料だけ減額されていて7月以降は3月以前の水準に戻る場合は、急いで申請するのでは無く8月に申請した方が給付額が増える場合があります。
経済産業省HP「給付額の算定方法」より抜粋
(3)貰える額が減少するケース
地方自治体による賃料支援金等(※)を受給している場合、今回の給付金予定額から、下記算式の数値分だけ減額されることとなります(下記計算結果がマイナスになれば減額はありません)。
家賃支援給付金予定額(今回申請分)+地方自治体による賃料支援金等(※)ー 月額賃料 × 6
(※)今回申請日以後6ヶ月間の賃料支援のため、地方自治体から給付を受けた(又はこれから給付を受けることが決定している)金額を指します。
(1)申請手続
申請は経済産業省のHPから出来ますが、手順は持続化給付金に似ています。
経済産業省HP「申請方法」より抜粋
(2)添付書類
ややこしいのが添付書類だと思いますので、最後に添付書類についてご説明します。
□ 自署の宣誓書(ダウンロードはこちら)
□ 法人税確定申告書別表一 控え(売上比較が出来る月を含む事業年度分必要なので、2期分必要な場合もあります)
→ 個人なら 所得税確定申告書第一表 控え
□ 法人事業概況説明書 控え(別表一と同事業年度分)
→ 個人青色申告なら 所得税青色申告決算書の控え(月別売上記入があるもの)
□ 受信通知(電子申告している際に必要)
□ 売上減少が分かる売上台帳等(売上が減った月・期間に下線を引いて欲しい
とのこと)
□ 直近3ヶ月の賃料支払実績を証明する書類(通帳コピー等)
□ 給付金受給の通帳表紙+見開き1,2ページ目
□ 賃貸借契約書の写し(下記御確認下さい)
①賃貸借契約であることが分かる部分に〇をつける
②土地・建物の契約であることが確認出来る箇所に〇をつける
③押印されている(署名なら不要)
④賃貸人が現在の賃貸人と同じであること
⑤賃借人が申請者であること
⑥対象となる土地・建物の住所が分かる箇所に〇をつける
⑦2020年3月31日時点と申請日時点の両方で有効な契約であること
⑧申請する賃料部分(賃料・共益費・管理費)に〇をつける
経済産業省HP「準備する書類・賃貸借契約書の写し」より抜粋
なお、⑦については自動更新等により3月末や申請日において契約が有効かどうかが、契約書では明らかで無い場合があります(と言うか、こちらが原則かもですね)。
その場合は、⑦に加えて下記のうちいずれか一つを貼付する必要があります。
・更新覚書(契約が生きていることが分かる書類)
・賃貸借契約等証明書(ダウンロードはこちら)
(3)その他
添付書類については PDF・JPG・JPEG・PNGで、容量は1ファイル10MBまでです。一添付書類につき一ファイルまでしかアップロード出来ないため、複数枚にわたる資料は事前にPDF化しておく必要があります。
また、パスワードがかかった添付資料は受け付けてくれません。
そして、添付書類についてiPhone(iOS11以降)で撮影される場合は、デフォルトの画像ファイル形式が HEIF となっており、本申請では対応していないません。
JPEGでの画像保存は下記を参照して下さい。
如何でしょうか?持続化給付金に比べて非常に添付書類が複雑です。
受給を急がれる方は「書類を以下に正確・丁寧に揃えるか」が大切だと思われます。
色々な特例もあり、また随時情報改訂される可能性もありますので、申請時は経済産業省の最新情報を確認の上、手続きするようにして下さい。