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国際税務2023.11.15 【国際税務】外国企業から受け取るストックオプションの取扱い

外資系企業で働いている方はストックオプションやRSUという形で報酬を受け取ることも少なくないと思います。

コロナ禍を経て在宅ワークを推奨する企業も増えたことから勤務地がその企業の所在地国でないケースも増えています。

今回は外国企業に在籍する日本居住者が外国企業のストックオプションを受け取った際の課税関係をご紹介します。

 

1.税制適格ストックオプションに該当するか否か


 

日本の所得税では付与されたストックオプションが税制適格ストックオプションか非適格かで取扱が異なります。
日本では税制適格に該当する方が一般的に税負担は軽くなります。

 

税制適格権利行使時(株式取得時)の課税は繰り延べられ譲渡時に譲渡所得税(20.315%)が課税

 

税制非適格→まず、権利行使時にその時点の株価と権利行使価格との差額が給与として課税(累進税率)されます。

次に、株式の売却額と権利行使時の株価の差額が譲渡所得として課税(20.315%)されます。

 

そのストックオプションが税制適格に該当するかどうかは租税特別措置法29条の2にて定められています。
詳細は様々なブログで紹介されているので割愛しますが、主に以下の要件を満たすことが必要です。

・自社や子会社の取締役、執行役及び使用人に付与されたものであること(大口株主やとの特別関係者は除きます)
・発行済株式の1/3を超えないこと
・付与決議の2年後から10年後までに権利行使されるもの
・権利行使の価額が発行時の株価以上であること
・権利行使額の合計が年間で1,200万円を超えないこと
・他人への譲渡が禁止されていること
・無償であること
・保管や管理について証券会社などへ移管される契約となっていること
・株式の交付が会社法238条1項に反していないこと
・支払調書の税務署への提出、権利者への書面提出がされること

 

外国企業が発行したストックオプションが上記のすべての要件を満たすことは通常ありません。
従いまして、外国企業にて付与されたストックオプションは税制非適格のストックオプションとして取り扱うことが一般的です。

 

2.課税関係


 

上記1の通り、税制非適格のストックオプションに該当した場合、日本の税制では権利行使時に給与課税がされます。
具体的に次の例で考えてみます。

ex1)付与時から権利行使時まで日本非居住者であった場合
→この場合、給与となる金額は非居住者の国外源泉所得という扱いとなり、権利行使時に日本で課税されることはありません。

 

ex2)付与時から権利行使時まで一部日本居住者であった場合
→この場合、日本居住者期間に対応する部分については日本で所得税が課税されます。
例えば付与から権利行使までの期間が5年あり、そのうち1年が日本居住者であった場合、総額のうち1/5について日本で給与の申告が必要となります。

 

ex3)付与時から権利行使時までずっと日本居住者であった場合
→この場合はすべての金額が日本で給与として課税されます。

 

〈譲渡時〉
上記の取扱は権利行使時(株式取得時)の取扱です。
では取得した株式を譲渡した時の課税関係はどうなるでしょうか。

ex1)譲渡時に日本非居住者
→株式の譲渡については居住者と非居住者の期間で按分するという規定はありません。
従いまして、株式を譲渡した際に日本非居住者であれば所得税の申告は不要です。

 

ex2)譲渡時に日本居住者
日本での確定申告が必要となります。

 

対象株式が外国の株式ですので、発行国で源泉徴収あるいは所得税が課税される可能性があります。
この点多くの租税条約では株式の譲渡所得については居住地国でのみ課税を行うという規定となっています。
このことから海外で株式の譲渡について源泉徴収や所得税が課税された場合は本来支払う必要がなかった税金として、日本で外国税額控除の適用が受けられず二重課税となる可能性があります。
従いまして、現地の税制は譲渡前に確認するよう心がけてください。

 

いかがでしょうか。
今後はストックオプションやRSUの受取も増えていくと思われます。
こういった株式は海外の証券口座での管理となるため日本での申告が漏れるケースが非常に多いです。
日本居住者は原則全世界の所得について課税される(非永住者について例外あり)という意識のもと判断してください。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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