国税庁は2021年2月26日に「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を更新しました。
今回はその中から「利子補給金(コロナ貸付)の収益計上時期」についてご紹介いたします。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」による融資を受け、新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度による利子補給金の交付を受けた場合、その収益計上時期はいつになるのでしょうか。
この利子補給金は、その融資に係る利子の3年分相当を一括して受給します。
一見すると受給決定日に全額収益計上しないといけないように感じますが、「対象となる融資に係る支払利子の発生に合わせて、その発生する支払利子相当額を収益の額として計上」することとなります。
具体的には以下のような会計処理になります。
(利子補給金受領時)
現金預金 / 前受金 360
(毎月の利息支払時)
支払利息 / 現金預金 10
前受金 / 雑収入 10
もちろん決算時に年間分一括で雑収入に計上しても構いません。
(参考)以下国税庁の見解です。
法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条)ので、通常の利子補給金の収益計上時期についても、原則として、交付決定日の属する事業年度となります。
そのため、特別利子補給制度により最長3年分の支払利子相当額の交付を受けた場合には、その全額が交付決定日の属する事業年度の収益として計上しなければならないのかという疑問が生じます。
しかしながら、この特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。
したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。
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【国内税務担当】高田和俊
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