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国際税務2020.06.10 非永住者ってなに??入管法改正と外国人労働者の納税義務

 

1.入管法改正


 

2019年4月1日に改正入管法が施行され、1年が経過しました。
コロナの影響により鈍化したものの今後は外国人労働者の増加が予測されます。

これまでの外国人労働者の在留資格は「技能実習」のみで、在留期間は最長5年でした。
単純業務に従事して、技術を学んで、5年以内には母国に帰りましょうという資格です。

 

今回はこの在留年数が技能実習の5年に加えて、最長5年延長される「特定技能」という在留資格が創設されました。
対象となる業種は介護、外食産業、宿泊業、飲食料品、一部の製造業など特定の14業種に限定されています。
人手不足に対して政府が力をいれようとしている業種がわかりますね。

 

特定技能の在留資格は、3年以上の実務経験(雇用の際に特定技能雇用契約の締結等が必要)や日本語検定などにより基準を満たすことで得ることが可能です。
概要は出入国在留管理庁のHPでも記載されていますので参考にしてください。

 

 

2.外国人労働者の居住者判定


 

日本の所得税法では国内において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合は居住者と判定されます。

上記1の在留資格が1年以上の場合は日本の居住者として扱われるとお考えください。

 

さらに、日本は居住者を非永住者それ以外に分けます。
日本国籍を有しない者で次の要件に当てはまる場合は非永住者となります。

 

・過去10年以内に日本に住んでいた期間が合計5年以下

 

特に外国人労働者は非永住者の判定を行うことを忘れないように注意して下さい。

 

〈過去10年以内、合計5年の判定上の留意事項〉
・過去10年以内の判定は、判定する日の10年前の同日から判定する日の前日までとする(所通2-4の2)
※ex.2020年4月1日時点で非永住者か否かの判定をする場合は、2010年4月1日(判定する日)から2020年3月31日(判定する日の前日)までの間が対象期間とります

 

・合計5年以内の計算において、1月に満たない期間は日数で計算します(所通2-4の3)。

 

・入出国を繰り返すなどにより、居住期間が複数ある場合、日数は30日をもって1月とし、月数は12月をもって1年とします。
※この場合の居住日数は入国日の翌日から出国日の日数をカウントします(所通2-4)。

 

 

3.納税義務の範囲


 

非永住者に該当しない場合(=非永住者以外の居住者)
全世界の所得が日本で課税されます。

 

非永住者に該当した場合
次の所得のみ日本で課税されます。
・日本勤務に基づく給与など、日本で得た所得
・国外源泉所得のうち日本で支払われたもの、あるいは日本に送金したもの

 

つまり、非永住者は国内外すべての所得(全世界所得)が課税されるわけではない点がポイントです。

例えば、国外に保有している不動産の賃貸収入、海外の証券口座で保有している株式の配当や譲渡益などは海外で受取り、日本へ送金しない限り日本では課税されません。
また、海外親会社の役員が日本子会社へ出向し、引き続き海外親会社から受け取る役員報酬も日本で受け取らない限り、あるいは日本へ送金しない限り日本では課税されません。

 

初めて日本へ来る外国人労働者は多くの場合、非永住者に該当します。
非永住者は日本独特の制度です。
日本居住者になったから全世界課税、と判断する前に、いつまでが非永住者なのか、いつからが永住者なのか、ご自身の日本での居住期間を今一度見直してください。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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