田舎に先祖のお墓があって、なんとも始末に困っている人が増えているようです。私もその一人で、この度思い切ってお墓の引越をしました。これはその顛末記です。
私の場合は遠方のお寺に先祖伝来の墓があり、一方で自宅近くに新しく墓を作っており、ご先祖様全員に引っ越しをしてもらうことにしました。
まずはお寺との話し合い。遠方で縁者もおらず墓参りもままならないので、お墓を移したいと申し出ます。お寺にとっては檀家を失うことになるので引き留めようとしますが、荒れ放題になっても困るし、子や孫の代になって放置するようではご先祖様に申し訳ない、ということで承知してもらいました。
この「お寺に承知してもらう」というのはとっても大事です。なぜなら遺骨を動かすには墓地がある市役所などの発行する改葬許可証が必要で(墓地,埋葬等に関する法律)、改葬許可証には墓地管理者の埋蔵証明が必要だからです。つまり寺が証明書にサインしてくれなければ遺骨は動かせないのです。
改葬許可証は遺骨一体に対して一枚(埋蔵証明との複写式)必要です。遺骨は8体あったので、8枚書きました。死亡者の本籍そのたいろいろ。分からないところは「不詳」でかまわないということでした。基本的に戸籍謄本ないし位牌で死亡日などは調べられるのですが、大正時代に亡くなったご先祖様の火葬の場所などは当然「不詳」です。一方で実際に遺骨を移してもらう業者の選定です。寺の墓地はいわゆる魂抜きを寺が行い、遺骨を取り出し、墓石を撤去し、更地にして寺に返還し、遺骨をこちらに送ってもらいます。現場が遠いですし、更地にする作業などは業者さんでないと出来ません。今はインターネットで多くの墓じまいを請け負う業者を見つけられるので、きちんと契約書を作る信用のおけるところをじっくりと探してみましょう。ちなみに私の場合は上記の作業全部まとめて20万円弱でした。
よく言われる離檀料は請求されていません。法的な根拠は何もない離壇料は、いわばお寺の手切れ金です。払うかどうかも含めて気持ちの問題だと思います。
遺骨は宅配便(!)で今の墓地まで送ってもらいました。送られてきたのは骨壺ごとが6体、袋に入って2体。どれが誰だか・・・。骨壺は蓋の裏に書いてあるのですが、最近のもの以外は既に読み取れなくなっていて、骨壺の古さから推測できるかどうかです。諦めました。そんなに沢山の骨壺は今の墓には入りませんし、遺骨はまとめて一袋にしてお墓に納めました。それでもお墓の中は満員です。
今の墓地は作ったときに開眼供養を済ませているので、今回の納骨は単に遺骨を納めるだけです。今の墓地の使用許可証に改葬した8体の名前を霊園に裏書きしてもらえば終わりです。ただ墓石はとっても重いので、遺骨を納めるために墓石を動かすのは手伝ってもらわないと大変です。汗だくになって色々手伝ってもらって送られてきた骨壺の始末もしてもらって、手数料5千円は良心的だと思いました。
多分一番お金がかかるのは、新しい墓地を作る費用で、100~200万くらいが相場だといわれています。共同墓地ないし永代供養に切り替えればこれはかからなくなります。離壇料は100万円とかを要求するところもあるやに聞いていますが、それはちょっと法外だと感じます。
お墓のことでお悩みの方のご参考になれば幸いです。
また相続税の基礎控除が3000万になってしまったので、税金の心配のある方は当方または信頼の置ける税理士にご相談下さい。