非居住者(外国法人等)に対する役務提供は消費税が課税されるのか?を論ずる前に、まず、そもそも役務提供ってどのようなときに消費税が課税されるのでしょうか。
答えはずばり『国内において事業者(個人事業主や日本法人・外国法人)が事業として対価を得て行う役務提供』が消費税の課税対象となる役務提供です。
よって、外国法人も日本で消費税の納税義務が発生し得るのは以前のブログでも説明したとおりです。
間を省略すると『国内において行う役務提供』が消費税の課税対象となります。ちなみに役務の提供は、資産の譲渡や貸付以外のサービスの提供を指します。
消費税の課税対象となった場合でも、即消費税を納税しなければいけないわけではありません。
例えば、商品を外国法人へ輸出する場合は“輸出免税”として消費税が免除されます。これはその商品が消費されるのが「国外」だから消費税が課税されないと考えます。
この輸出免税は「役務提供」についても適用され、条文等は次のようになっています。
消費税法(一部抜粋)
第七条 事業者が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。
五 前各号に掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの
消費税法施行令(一部抜粋)
第十七条
2 法第七条第一項第五号に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産の譲渡等とする。
七 非居住者に対して行われる役務の提供で次に掲げるもの以外のもの
イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管
ロ 国内における飲食又は宿泊
ハ イ及びロに掲げるものに準ずるもので、国内において直接便益を享受するもの
消費税法基本通達(一部抜粋)
7-2-16 令第17条第2項第7号において輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供には、例えば、次のものが該当する。
(1) 国内に所在する資産に係る運送や保管
(2) 国内に所在する不動産の管理や修理
(3) 建物の建築請負
(4) 電車、バス、タクシー等による旅客の輸送
(5) 国内における飲食又は宿泊
(6) 理容又は美容
(7) 医療又は療養
(8) 劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供
(9) 国内間の電話、郵便又は信書便
(10) 日本語学校等における語学教育等に係る役務の提供
輸出免税の対象から除かれる役務提供が列挙されていますが、いかがでしょうか?
日本で役務提供を直接受けたとわかりやすい取引ばかりが列挙されていますね。
つまり、日本で役務提供を直接受けた取引以外は原則輸出免税の対象となり得ると考えるとわかりやすいと思います。
消費税法上の非居住者とは「外国為替及び外国貿易法第六条第一項第六号 (定義)に規定する非居住者」になります。所得税や法人税の規定と異なるので注意が必要です。
特にアンダーラインに注意してください。
外国為替及び外国貿易法(一部抜粋)
第六条 この法律又はこの法律に基づく命令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州及び財務省令・経済産業省令で定めるその附属の島をいう。
二~四 省略
五 「居住者」とは、本邦内に住所又は居所を有する自然人及び本邦内に主たる事務所を有する法人をいう。非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上代理権があると否とにかかわらず、その主たる事務所が外国にある場合においても居住者とみなす。
六 「非居住者」とは、居住者以外の自然人及び法人をいう。
非居住者に対する役務提供は、その中身を見て課税か免税かを判断する必要がありますが、免税をベースに検討してみると良いと思います。
消費税が免税となる、具体的な対非居住者役務提供を少し列挙してみます。
✔ 新聞社・雑誌社等が行う広告の掲載
✔ コンサルティング(Skype等)
✔ 弁護士が行う国内における特許権等に関する訴訟事務等
その他、輸出免税を受けるために必要となる条件等がありますので、具体的な事例がある方は、是非国際税務に強い税理士へ相談されることをお勧め致します。