『彼を知り己を知れば百戦殆うからず。』
『孫子』の「謀攻篇」にある有名な言葉で、「相手のことも自分のこともよく知って戦えば何度戦っても負けない」という内容です。この格言は、「彼を知らずして己を知れば一勝一負す、彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず殆うし」と続きます。
何か行動するときに「相手のこと」と「自分のこと」を知る重要性を説いています。
この格言は資格試験合格や就職先選びにも繋がります。
税理士試験が終わり、次の科目選定や勉強方法で悩んでおられる方、又は就職先選びで悩んでおられる方もいらっしゃる時期だと思います。そんなアナタに向けてこのブログを書きます。
本日は税理士試験の科目選びについてです。
税理士試験は年一度の受験しか出来ず、かつ科目合格が一生有効であるため科目合格が重要となり、更に「科目選定」が最重要だと言えます。
受験科目の特性、所要勉強時間などは皆様も調べておられると思います。まさしく「彼を知る」行為です。科目選定する上で「実務での有効性」と「所要勉強時間の短期性」の何れを重視するかが重要な判断ポイントになります。
また、受験生のタイプは「早く税理士になって実務をこなしたいタイプ」と「実務で生かすために勉強しそのベンチマークとして受験するタイプ」に大別されます。皆様はどちらでしょうか?これは「己を知る」行為です。
あなたは「早く税理士になりたいタイプ」ですか?それとも「じっくり勉強して税理士になりたいタイプ」ですか?
私は、ここ(己)を知ることが最重要だと感じます。
まず「じっくり勉強して税理士になりたいタイプ」の方について検証します。
そんなあなた、科目選びは自由に出来ます。実務で生かせそうな科目、ご自身が興味を持つ科目、何れも科目選びの方法として正解だと思います。
ただ、お仕事しながら受験される方については、税法は一科目ずつ受験して合格可能性を上げるのが個人的にはお勧めです。仕事をしているとご自身で制御できないことが多々生じるはずですし、勉強のリズムを保つのが困難です。
また「実務で生かせそうな科目」は往々にして合格に向けた所要勉強時間が長い特徴があり、二科目同時合格は非常に狭き門です。精神的に強い方(二科目とも不合格になっても耐えられる精神力の方)は税法二科目同時受験もありかなと思います。
次に「早く税理士になりたいタイプ」のあなた。
本来は「所要勉強時間の短期性」が見込まれる科目を選択すべきですよね。
ただ実際は「実務での有効性」から科目選びをしていませんか?これは彼己のいずれか一つが知れていない状態と言えるため、孫子は「一勝一負する」と説いています。
「早く税理士になりたい」気持ちの強さによりますが、早く税理士になりたい気持ちが強い方は、勉強時間を加味して科目選択することを勧めます。
確かに実務で生きる科目選択をした方が実務は楽になります。が、税理士になると分かりますが税理士になった後もずっと勉強が続くため、受験していたから実務が強い、とか受験勉強科目じゃないから実務が出来ない、とはなりません。
もちろん合格後の勉強は人により濃淡があるでしょうが、合格後にいくらでも本人次第でカバーできます。
だから、科目選択はあくまで理論的に検討すべきだと私は思います。
周囲の人は「その科目は実務で生きないから選択すべきでない」と語りかけてくるかも知れません。そこで自己分析がしっかり出来ていれば、そんなアドバイスに揺らぐことなく進むことが出来ると思います。
税理士になってからの実務、やりがいが多くて楽しいですので早期決着型を目指す方は一年も早く税理士に登録頂けることを楽しみにしています。
最後に過去の試験の合格率変遷と所要勉強時間(目安)を添付いたします。
税法での勉強時間が科目によって大きく異なることが分かります。
また法人税と事業税、所得税と住民税は関連性が高いため共に勉強すると勉強負荷が軽くなると言えるセットです。
如何でしょうか。
税理士試験は受験期間が長くなり易い試験であり、その中で受験科目選びはかなり重要です。
受験科目選びの一助になれば幸いです。
毎年受験生が減ってきている状況ですが、裏を返せば税理士になった後のライバル数は少ないとも言えます。AIにより業務の一部は機械化されますが、人にしか出来ない税理士としての業務は多方面にあります。
一日も早く税理士になられることで、共に企業をサポートしましょう!
あすか税理士法人
【国際税務・国内税務担当】高田和俊
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