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国際税務2024.07.03 【国際税務】CRS改正(暗号資産も報告対象に)

2018年にCRS(Common Reporting Standard)という海外の金融機関の情報を各国の税務当局と自動的に交換する報告基準が実施されて5年以上経過しました。

日本居住者の方も非居住者の方も海外に資産をお持ちの方はこの制度を意識されている方も多いと思います。

 

今回はこのCRSにおける令和6年度の税制改正内容をご紹介いたします。

 

1.CRSに係る2024年度税制改正の内容


 

令和6年度改正により、「暗号資産交換業者等(暗号資産交換業者、電子決済手段取引業者等)」は暗号資産の取引を行う顧客に対して税法上の居住地国の特定や報告手続きの実施が必要となります。

 

この法施行は2026年1月1日となっています。

 

この改正はOECDが策定している暗号資産等報告枠組み(CARF:Crypto-Asset Reporting Framework)に基づき、租税条約等により各国の税務当局と非居住者に係る暗号資産の情報を自動的に交換するために整備された制度です。

 

 

2.報告内容


 

暗号資産交換業者は12月31日時点の顧客(私たちのような暗号資産を購入した者)に関する、以下の情報を翌年4月30日までに税務署へ提供する必要があります(以下、報告事項といいます)。

 

①氏名又は名称

②住所又は本店等の所在地及び税法上の居住地国

③その年において当該暗号資産交換業者との間で行われた暗号資産等売買等に係る暗号資産等の種類ごとの名称

④暗号資産の種類ごとの売却、交換又は購入等の対価の額の合計額その他一定の事項

 

また、暗号資産に係る税務調査についても次のように規定が変更されています。
税務職員は、報告事項の提供に関する調査について、報告事項を提供する者(つまり私たちのような顧客)に質問し、帳簿書類その他物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができるとされ、暗号資産交換業者等に対しても税務調査ができることとされました。

 

 

いかがでしょうか。
本改正により、居住者が国外の取引所に保有している暗号資産についてもCRSの対象となりました。
国外財産の補足についてはどの国も力を入れていることがわかります。

 

ドバイ、香港、シンガポールなどに居住されている方は国外所得は非課税とされており現時点では日本では課税ができない状況です。
こういった非居住者が日本の暗号資産交換業者を利用している場合に日本の課税当局はこれまで以上に居住者判定について力を入れることが想定されます。
また、暗号資産が国外転出時課税の対象となる日もそう遠くはないと考えています。

 

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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