2022年は税理士試験の合格発表が例年より早く、11月30日の予定です。
一科目の合格率が10%前後と難しい競争試験ですが、その分合格した時の達成感はひとしおですよね。Blogを見てくださっている方の合格を心より願っております。
今回の試験結果発表を受けて転職活動を開始される方もいらっしゃることと思いますので、本Blogでは会計事務所の今後について考察し、また会計事務所をいくつかのタイプに分けて解説することで、転職活動をされる皆様にプラスとなる情報を提供をしたいと考えています。
これからの会計事務所を考察する前に、まずは今までの会計事務所について考えたいと思います。
会計事務所の主な仕事として、次の業務が挙げられます。
(1)記帳代行(会計帳簿を納税義務者に変わって作成)
(2)帳簿チェック
(3)決算書作成
(4)税務申告書作成
(5)税務調査対応
(6)利益予測と節税検討
(7)事業計画策定支援
(8)事業承継支援
(9)高度な税務相談
(10)その他何でも相談
改めて文字で起こしてみると、結構業務が広範囲であることがわかります。
これらに加えて、セミナー講師や、クライアント従業員様に向けた研修会、保険販売等を行っている会計事務所もあります。
特に昔ながらの会計事務所の仕事は(1)~(5)を行っているイメージが強いですよね。
(5)は事務所によって特色が分かれるように感じます。
税務調査で指摘を受けないように期中処理からしっかり対応するよう指導する会計事務所もあれば、残念ながら決算時は特に指摘が無いのに税務調査になると税務調査官に指摘されることが多くそのまま修正するよう勧める事務所もあります。
また、いわゆる税務調査の対応力を強みとして謳っている事務所もありますね。
(5)は顧問料に影響を及ぼす項目だと考えられます。
一方で(1)~(4)は重要な業務でありながら、でも基本的にはどの会計事務所に頼んでも同様の成果物が出来るはずなので大きな差別化を図るのは難しそうです。その点で(1)~(4)は同業他社との価格争い(顧問料が安い方が強い)になる可能性が高いと言えます。
(1)~(5)のみを実施している会計事務所は、合理的な処理方法を追求できるような会計事務所でなければ、生き残りは難しい時代になると確信しています。その当たりを次のセクションで検討します。
先ほど申し上げましたが、(1)~(4)の業務は、ほぼすべての会計事務所が担っているため、差別化が難しい業務といます。
更に、昨今のIT技術革新により、AIを活用した仕訳自動生成機能や税務申告書の自動作成機能の進化は目を見張るものがあります。
進化のスピードを考えると、早ければ数年内に(1)~(4)の業務のほとんどは機械がする時代になる可能性が高い(業界全体としてのお話)です。
そうなると、クライアントが会計事務所に求める業務のウェイトが(5)~(10)により重きを置くようになると考えるのが自然だと思います。
特にその中でも下記四項目の重要性は高まると私は考えています。
(7)事業計画策定支援
(8)事業承継支援
(9)高度な税務相談
(10)その他何でも相談
お客様のこれからのニーズが分かるならば、それが提供できる会計事務所に就職するかどうかで、あなたの人生が大きく変わってくるのは明白ですよね。
もちろん、全て自分で独自に勉強し昇華させていくことも素晴らしいと思いますが、それには多大な労力を要しますし、一人で出来ることにはやはり限界があります。
お客様の将来のニーズを的確にとらえて、その対応を組織的に行おうとする事務所がより存在感を増してくると思っています。
では次に、会計事務所をいくつかのカテゴリーに分別して、その特徴とどんな方が就職するべきかを検討します。ここは完全に私見ですので最終的には皆様でご判断いただければと思いますが、私もこの業界に20年近くおり、また他の事務所の話を聞いた上でのお話なので、多少はお役に立てると思っています。
(A)個人会計事務所タイプ
一番メジャーなタイプの会計事務所です。
最初に断っておきますが、「個人会計事務所は非組織的で、税理士法人は組織的」という考え方は間違っています。
個人会計事務所でも組織的な事務所があれば、また税理士法人でも全く組織的でない事務所もあります。
個人会計事務所はクライアントと税理士との個人契約で成り立っています。従って、代表税理士が退任する際にクライアントをどうするのかは事務所によって対応がかなり分かれます。
例えば社内に番頭税理士がおり、その方に一手に引き継ぐ予定である場合、あなたが税理士として独立するのは難しいかもしれません。一方で最終的にクライアントを引き継いでくれる税理士を探している個人事務所もあり、その場合はあなたがクライアントを引き継ぐことも出来るかもしれませんね。
個人事務所は総じて代表者のカラーが特に色濃く反映されやすい事務所だと感じます。
このタイプの事務所に就職するのが向いている人は次のタイプの方だと思います。
・とことん一人の人に付いていきたいタイプ
・その代表者に感銘を受けているタイプ
(B)税理士法人(専門特化型)タイプ
何か特定の業務(例えば相続税や医療法人など)に特化した税理士法人です。
個人事務所も含めてですが「専門特化型」の事務所は増えているように思います。
税理士法人は責任を持つ税理士複数人が集まってできた合名会社で、事務所の運営はその合議制により進められるのが前提です。
「税理士法人」と聞くと組織的であるように感じますが、実態は事務所によって本当に異なります。この辺りは面接でその気配がうかがえると思いますので、質問をしっかり準備することで見極めることは出来ると思います。
専門特化型の強みは「潜在顧客への訴求力」と「その専門特化分野で独立する最短コース」であることです。
後で述べる大手税理士法人タイプとの違いは、その顧客層だと考えられます。
税理士法人(専門特化型)タイプの方がそのターゲット層がより広いため、対人能力がより求められるように感じます。
このタイプの事務所に就職するのが向いている人は次のタイプの方だと思います。
・とにかくやりたいことが決まっていて、将来その専門家になりたいタイプ
・将来独立するかどうかは未確定で、組織の中の主要なポジションに就く選択肢があっても良いと考えているタイプ
(C)税理士法人(オールマイティー)タイプ
特定の専門分野に絞らずに、広範囲に組織的にサービス提供するタイプの事務所です。
「オールマイティー = 強みが無い」との意見もありますが、この辺りも事務所によって結構差がある印象です。
オールマイティーがベースにありつつ、強みとなる柱をいくつか持っている事務所もあります。また本当に何でも取り組む事務所もあります。
本Blogの前半でも述べましたが、どこの事務所に頼んでもあまり成果物は変わらない業務よりも、その事務所に頼むからこそ得られる成果(物)、つまり「強み」が有る事務所により有利な時代になっていくと考えられます。
オールマイティーな事務所に勤務を希望される場合は、その中でもそのような強みを出そうとしているのかを見極めることが非常に重要だと思います。
このタイプの事務所に就職するのが向いている人は次のタイプの方だと思います。
・将来やりたいことが一つに絞られていないため、今は幅広く能力を身に着けたいタイプ
・複数の先輩から様々なことを学びたいタイプ
(D)大手税理士法人タイプ
従業員を100名以上抱えるような大手税理士法人です。
組織が大きいため、各部署で行う業務が定まっているケースが多いのが特徴ですね(勤める事務所によって大きな差はあると思います)。
税理士法人(専門特化型)タイプとも似た業務になりますが、更に複雑な案件までグローバルに取り扱うことが出来る点が異なります。その分、クライアントにお願いする報酬も高額になるのでターゲット層は、税理士法人(専門特化型)タイプより狭く深くなります。
競争に打ち勝つことで(また運も味方につけて)自分の求めるポジションに就くことが出来るので、モチベーションを高く維持することが求められると思います。
クライアントターゲットは中小企業より大企業寄りで、独立してもチームを組んで大企業に高次元なサービス提供をしたい方に合っていると思います。
このタイプの事務所に就職するのが向いている人は次のタイプの方だと思います。
・中小会計事務所では手掛けられない複雑な業務にタッチしてみたいタイプ
・社内の(又はグローバルな提携企業の)様々な方と共同でプロジェクトを進めることが出来るタイプ
最後に、弊社(あすか税理士法人)のご紹介をさせて下さい。
私たちの事務所は(C)税理士法人(オールマイティー)タイプ です。
その上で、『国際税務』『(M&Aを含めた)事業承継』『会計支援』に強みをもって業務に取り組んでいます。
一人の人が出来ることは残念ながら限界があります。
でも複数の人材が集まり有機的な活動が出来れば、その可能性は無限大です。
会計業界の将来を見据えつつクライアントにより良い、今までにないサービスを提供していきたいと考えています。
今すでに素敵な人たちが集まってきてくれていますが、実現したいことを考えると仲間がもっと必要です。
私たちの経営理念”All for Clients”に共鳴してくださる方と、是非一緒に働きたい。
興味を持ってくださった方は、是非リクルートサイトからエントリーの上、私たちに会いに来てくださいね。
あすか税理士法人
【国際税務・国内税務担当】高田和俊
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