前回のブログでよくある海外資産に係る申告漏れの事例を列挙しました。
今回のブログより海外で発生する所得について一つずつ掘り下げたいと思います。
1.海外の金融機関に預けている外貨預金の利息
2.外貨預金を異なる通貨に換えた際に生じる為替差益
1について、
日本では日本の銀行口座で生じる利息は日本の税金が天引されて課税が完結するので、申告義務はありません。
しかし当然といえば当然ですが、海外の預金利息からは日本の税金は天引されていません。
そのため海外の預金に係る利息は「利子所得」として申告しなければなりません。
利子所得計算において外貨を円換算する際に使用する為替レート、海外税金の天引きの有無に注意して下さい。
2について、
外貨を日本円に円転した場合、外貨の取得に要した円より円転により戻ってきた円が多くなっていれば差額は為替差益として申告する必要があります(雑所得)。
円転の場合は申告漏れは少ないのですが、よく申告漏れが発生するのは外貨を別の外貨へ換えた時です。この場合も円転の場合と同様に申告する必要があります。
なお、為替差損はその他の雑所得と損益通算が可能です。
為替差益を計算するにはいつ外貨を取得したかが非常に重要になります。
昔から保有している外貨はどう考えるのか。いつの換算レートを使うのか。日本のように入出金明細が出ない場合はどうするのか。
など、実務上は様々な疑問が出てきます。
これらの計算は非常に複雑ですので、専門家をうまく利用されることをお勧めいたします。
確かに以前は国税が海外の口座情報を把握しにくかったことは事実です。
しかし、今後は口座情報を共有する制度(CRS制度)によって少しずつ把握されるようになると考えられます。
確定申告の時期が近づいてきました。
今まで申告していなかった方は気をつけて下さい。