「ふるさと納税」と聞くと、個人がある自治体に寄附をすること(住民税の前払い)により、自己負担額2,000円で返礼品を受け取れることとイメージする人が多いかと思います。
しかし個人だけではなく、法人向けのふるさと納税もあることをご存じですか?
今回は、その「企業版ふるさと納税」について簡単に解説します。
個人が行うふるさと納税とは違い、返礼品を受け取ることはできませんが、
国が認定した地方公共団体が行う「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に寄附を行うことで、最大で寄附額の9割の税額が軽減される制度です。
大阪府企業版ふるさと納税対象事業は、こちらからご覧いただけます!
① 国税(約3割)
地方自治体への寄附は、そもそも全額が損金となるため、寄附をしない場合に比べ、その寄附金分だけ法人税を計算する課税所得が減少します。
そして、法人税率を約30%で計算すると考えると、寄附金額の約3割減税。
~ここからが企業版ふるさと納税の最大のメリットです!~
② 法人住民税+法人税(4割)
・法人住民税(県)×5.7%(ただし、法人税割額×20%限度)
・法人住民税(市)×34.3%(ただし、法人税割額×20%限度)
→県と市を合わせて最大寄附額の4割税額控除。
・法人住民税で寄附額の4割に達しなかった場合
4割に達しなかった残額(ただし、寄附額×10%限度)を
法人税から税額控除(ただし、法人税×5%限度)
→寄附額の10%が限度であるため、寄附額によっては、最大の4割の税額控除を受けることはできなくなりますが、法人税の税額控除による控除控除の可能性があるということです。
③ 法人事業税(2割)
寄附額×20%(ただし、法人事業税×20%限度)
④ ②と③の金額が、それぞれの限度内であれば、最大9割の税額が軽減されるということです。
・1回当たりの寄附額は、10万円以上であること
・会社が青色申告法人であること
・本社が所在する地方公共団体以外への寄附であること
・寄附先の地方公共団体が地方交付税の不交付団体ではないか
→自らの自治体の税収で財政運営をまかなえているお金持ちの地方自治体への寄附は、対象とならないということですね。
①「企業版ふるさと納税寄附申出書」を提出。
普通の申込書では、企業版ふるさと納税の受領証が発行されない可能性があるため、各自治体に事前に確認することをお勧めします。
② 寄付金の支払
クレジット決済の場合、入金確認が約1ヵ月半後となるようです。この場合の受領証の日付は、クレジット決済日となりますが、決算日までに受領証が届かない可能性がありますので、ご注意ください。
③ 地方自治体で入金の確認が完了すると、受領証が送付されてきます。
この受領証は、確定申告で企業版ふるさと納税の寄附金控除を適用するためには、必ず必要となりますので、大切に保管してください。
決算の利益予測を見てから寄附額を決定することで、寄附の判断がギリギリになってしまうことがあるかと思います。その場合、受領証は、入金確認後に発行されることから、受領証が決算日までに届かない可能性も想定されます。
そこで、最も早く受領証を受け取れる方法をご紹介します。
①事前に寄附額をその自治体の担当者へお伝えする
②担当窓口で納付用紙を受け取る
③そのまま納付をする
この手続きを踏めば受領証は約3週間で受け取れます。
つまり、3月決算法人が3月31日に寄付しても申告に間に合います。
寄附は、資金が出ていくことには変わりありませんが、企業版ふるさと納税では、寄附先をしっかり選択することで通常の寄附と比べ、大幅な税額軽減を受けることができるメリットがあります。
あすか税理士法人
【スタッフ】渋谷優果