2017年11月2日の日本経済新聞に「外資ネット通販も課税」という記事が載っていました。
簡単に言うと、日本でビジネスをしている外国企業に対する課税を広げることとなります。
租税条約のベースとなるOECDモデルは『恒久的施設なければ課税無し』という考え方をとっています。
「何でもかんでも課税する!」と各国が好き放題に主張すると企業活動に支障が出て、ひいては世界的な経済活動の発展に悪影響が出るため『恒久的施設』という概念を作り、課税のベースにしているわけです。
この『恒久的施設(Permanent Establishment:PE)』はOECDモデルの租税条約第5条に規定されていますが、その第4項に恒久的施設にあてはまらないもの(つまり例外)が列挙されています。
そこに「商品の保管、展示又は引渡しのためのにのみ施設を使用すること」や「商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること」を行う場合が挙がっているのです。
これがために、例えばネット通販のような事業については、倉庫のみがある国で課税が出来ない状態になっていました。
しかし、2017年6月に日本も署名した「OECD(経済協力開発機構)の多国間協定」(2018年通常国会にて協定承認見込み)により、今後は「企業活動の根幹を担うような大規模倉庫があれば課税される(日経新聞)」ように税制改正を行うことになりそうです。このことは2017年11月1日に政府税制調査会がその改正の方針を確認したことから明らかになっています。
2017年10月25日現在で「OECDの多国間協定」に署名している国・地域は71にのぼります。
見ていただいて気になる点があると思います。そうです、「米国」がありません。
米国はこの多国間協定にサインしない理由の一つとして、米国が各国と結んでいる租税条約が既にあることを挙げています。それは米国が各国と結んだ租税条約のまま行く方が米国にとって都合が良い面が多いことの証明ではないかと思います。
国際間の取り決めは、足並みを揃えることで望む効果が得られると私は思います。
PEに関する改正は企業の租税コストに直結し、海外戦略に影響を及ぼすことだと思います。
正確に、かつ適時に情報を精査し企業方針を定めていくことがこれから益々重要になると感じました。