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国際税務2017.11.24 【国際税務】アメリカ市民権者が日本に住み勤務すると居住者?非居住者?

日系企業の外国人採用が進んでいる情報を目にすることが多くなってきましたが、中小企業においてもそれは例外ではないかと思います。

 

外国人を日本で採用し働いて貰う場合、日本の税金をどのように取り扱うのか、経理・総務の部署の方を悩ませる問題の一つではないでしょうか。

 

今日は、その一つの例として「米国市民権(citizen)を有する人」が日本に複数年滞在予定で来日、給与を得ている場合の税金取扱いを見ていきたいと思います。

 

そもそも米国では
「米国市民(citizen)」と「外国人(alien)」に区分され、
その「外国人」を更に「米国居住者(resident alien)」と「米国非居住者(non-resident alien)」に区分しています。

 

このうち「米国市民(citizen)」は全世界所得課税とされておりますので、日本でいう『居住者』に所得税の性格上は似ています。

 

今回のケースでアメリカにも日本にも住居を有している場合、どちらの居住者になるのでしょうか?

《日本》

 

複数年、日本で勤務する予定で来日した場合、日本の「居住者」となります。

《米国》

 

市民権を有することにより米国において課税を受けるべきものは、米国の「居住者」となります。

つまり『双方居住者』となるわけで、このままでは両方の国で全世界所得課税となり本人の負担が非常に大きくなってしまいます。

そこで「日米租税条約」が力を発揮することになります。
日米租税条約第4条第2項では米国市民権者は「日本の居住者に該当する者でない」ことを満たす場合に限り米国居住者とする、となっております。

 

つまり日本居住者に該当するならば、米国市民権者は日本で居住者課税を受けることとなるわけです。

 

外国人を日本で雇用する場合の取扱いは、各国の租税条約は最低限でも確認する必要があると言えます。